孤独と幸福

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世の中は「孤独」関連の話題が多い
・孤独死、子供食堂、ママ活、インスタ映え、SNSの承認欲求、おひとりさま、家族と暮
らしても孤独な老人、大勢の中にいても孤独…
・そもそも、人はいつでも一人になる可能性があるので(死別、離別等)、孤独は誰もが
直面しうる問題
孤独と幸福
・ハーバード大学の研究によると、人間の幸福度に一番大きな影響を与えるのは、お金や
地位ではなく、「幼少期の両親との人間関係」であることがわかっており、添い寝によ
る愛情表現は、子供の将来に大きな影響を与えるという。
・「人との交流が幸福度を高める」というが、これはマズローの5段階欲求が唱える「親
和の欲求」で本能的なもの。人と交流している時に生まれる安心感は幸福度に直結する
。逆に孤独状態では不幸となる。この欲求を満たすポイントは、人との交流を一方的に
終わらせず、必ず双方向通信の「交通」になるように意識すること。
→孤独、幸福、絆は深い相関関係があり、以下の特集を検討する前提としてこれらの関係
を考えることも重要
『週刊東洋経済』(2018.11.3号)特集 「ビジネスパーソンを襲う『孤独』という病」
現役世代の孤独死
孤立化リスク1 生涯未婚率(50歳時点での未婚率)の上昇
孤立化リスク2 離婚
孤立化リスク3 不足するつながり
高齢化するひきこもり 8050問題
社会的孤立の解消へ 日本の政策に必要なこと
企業をむしばむ「職場で孤独」
SNSは頼りにならない 若者が抱える孤立リスク
人に迷惑をかけないきれいな孤独死入門
・“高齢者だけの問題ではない 現役世代を襲う孤独の恐怖”
・「孤独」が英国経済に与える影響額の試算 年間約4.7兆円の損失
・英国の人口約6500万人中、900万人以上が孤独を感じている→2018年1月世界で初めて
「孤独担当相」を新設
孤独担当相が設けられた経緯
イギリスでは近年、高齢化社会や社会不適合など「孤独を感じている人」が急増し社会問題化している。
イギリスの孤独問題には、英国労働党の故ジョー・コックス下院議員が熱心に取り組んでいた(2016年にネオナチ団体とつながりのある男に殺害された)。コックス議員は選挙活動で家庭訪問する度、
多くの人が一人ぼっちの寂しさを抱えていることを痛感。それをきっかけに孤独問題に向かい合うようになった。彼女の死後、「ジョー・コックス孤独対策委員会」が創設され、2017年末には彼女の遺志を継いだ超党派議員らが解決に向けての国家戦略や担当相の設置案などをとりまとめ、提言を政府に提出。これを受けて政府は、孤独をなくす政策を練り、民間の協力を得ながら超党派で対策を進めた。メイ首相は、社会的孤独者問題を担当する国務大臣を設置することを決断。文化省でスポーツなどを担当するトレーシー・クラウチ政務次官が孤独担当相を兼務することになった。
・米ブリガムヤング大ホルトランスタッド教授(心理学)の分析:社会的つながりが強い
人はそうでない人に比べて生存率が50%高い
・アルコールを飲みすぎない、太りすぎないことよりも、社会的つながりが強いことの方
が長寿に強い影響
・孤独は一日15本の喫煙と同程度の健康への悪影響
・日本も孤独大国になる可能性が大
・国立社会保障・人口問題研究所:「2040年の単身世帯は約4割になる見通し」
・日本の単身世帯比率は国際的に高くない。→社会的つながりが希薄なことが日本の問題
・日本は家族以外との交流がない人の割合が約15%(OECD加盟国中最も高い)
・単身世帯の男性や一人親世帯が孤立しやすい傾向(p.37表参照)
・現役世代も要注意。生涯未婚率の上昇、男性の単身世帯、離婚による単身化、現役世代
の孤独死
現役世代の孤独死
・孤独死者の4割は50代以下の現役世代 15年4月~18年2月(日本少額短期保険協会の第
3回孤独死現状レポート)
例:30代男性 若年性がんに 親に連絡せず闘病 病死
50代男性 バツイチの独身 病気治療のため早期退職後セルフネグレクトに 病死
etc.
・ビジネスパーソンの孤独とも向き合い方 『うつヌケ』の漫画家 田中圭一さん「自分
に近い属性の友達を作るべき」
高まる孤立化リスク1 生涯未婚率(50歳時点での未婚率)の上昇
・2015年 男性約23%、女性14%(男性の約4人に1人、女性の約7人に1人が独身)
・国立社会保障・人口問題研究所の調査 50歳未満の未婚者は「まだ結婚するつもりはな
い」「一生結婚するつもりはない」人(=結婚を焦っていない人)が多い。(P.29表参
照)
一人の生活を続けても寂しくない人の増加、他方で婚活に苦悩する男性の例
・生涯未婚率が今後も上昇すると予測 孤独に陥らないためには友人や同僚など気心の知
れた人とのつながりを持つことも重要
高まる孤立化リスク2 離婚
・40代以上は離婚による単身化が増加 1970年代から大きく増加(p.30グラフ参照)
妻のDVで精神疾患、仕事を辞め離婚した例、離婚後に親権を奪われた例
・離婚後、自殺に至るリスクも。人口10万人当たりの自殺者数はどの年代も離別者が多く
、女性より男性の方が多い。(p.31グラフ参照)
・結婚していても安心できない。離婚するなら寂しさに耐えられるだけの準備が必要
高まる孤立化リスク3 不足するつながり
・“不寛容社会の回避へ 集活を進めよ”
・健康な高齢者でも社会的孤立状態にある人はそうでない人に比べて6年後の死亡率が2.2
倍高い(2018年7月 東京都健康長寿医療センター研究所の調査)
・孤独が長期化すると人は不機嫌、自己中心的、攻撃的に
・長期的に孤独な人が増加すると日本は不寛容な社会へ変質する可能性
・孤独が生まれる原因
①コミュニティーの弱さ:日本は社会や地域での人々の信頼関係や結びつき「ソーシャル
キャピタル」が極端に乏しい(149カ国・地域中101位)→特に中高年男性 長時間労働
 家庭だけが居場所
②コミュニケーション力の低さ:中高年男性 タテ社会のポジショントーク ヨコのコミ
ュニケーションが苦手
・3K(会社、肩書、家庭)から3S(仕事、趣味、社会貢献)へのシフトを
・「行きつけの店」をつくるのも手
・孤独を回避するには?独身研究家 荒川和久さん「心が孤立しない方法は、自分の中に
新しい自分を多く作る、つまりインサイドコミュニティを充実させること」
高齢化するひきこもり 8050問題
・80代の親が無収入の50代の子どもの面倒を見ているケースが増加
・親が支援の申し出を拒み、親の亡き後残った子どもも衰弱死
・行政の対応の遅れ、就労のレールから一度外れるとなかなか戻れない社会構造も
社会的孤立の解消へ 日本の政策に必要なこと
・高齢期および現役期の単身男性、一人親世帯が特に孤立に陥りやすい
・女性は男性ほど孤立していない(単身女性は別居家族との関係を持つ人の比率が高い、
高齢単身女性は近所、現役期の単身女性は友人とのつながりを持つ比率が高い)
・社会的孤立の克服に必要な対策 ①相談窓口の拡充 ②地域コミュニティーの強化 ③
働き続けられる社会の構築
企業をむしばむ「職場で孤独」
・約6割のビジネスパーソンが職場での孤独を経験
・自己中心的な行動や人間関係の希薄さが孤独を招く
・ビジネスパーソンが職場での孤独を感じやすいのは
(1)孤立状態に陥った時→原因①物理的な孤立 ②働き方による孤立 ③配属に伴う
孤立→周囲がサポートしやすい
 (2)本人の性格に問題がある場合
・職場で孤独に陥っている場合の対処法→①自分から孤立状態を生み出すような行動をし
ないこと ②会話が少ない職場でも何かの際には助け合える関係を築くこと
SNSは頼りにならない 若者が抱える孤立リスク
・未婚化、非婚化が若者の孤立リスクを高めている (悩み事を誰にも相談できない人の
割合 20~39歳で6.3%)
・SNSは若者の孤独、孤立解消に役立つと考えられる
・しかしネット上のコミュニティーを頼れる人は少ない(家族・親戚78%、友人65%、ネ
ット上の人やコミュニティー22%)
・SNSは本当に困った時に頼りにならず、孤立を防ぐにはリアルな人間関係が必要
・しかし、それには直接会うための相応のコストがかかる。若者の孤立を防ぐには彼らの
経済的安定を図ることも重要
人に迷惑をかけないきれいな孤独死入門
・成年後見制度(法定後見、任意後見)、任意後見とセットで見守り契約、死後事務委任
契約、身元保証契約、葬儀生前信託契約など
私見
・一人になることを恐れる人が多いが、「おひとりさま」がますます増えれば、世の変化
に合わせ、新しい政策や社会的ニーズに合う民間の新サービスが出てくると思う。その
意味で、孤独社会における具体的対策についてそこまで心配していない。
例:「孤独先進国―イギリスの福祉政策」(『潮』2019年1月号p.112~117)
・2018年に世界初の「孤独担当相」を設置
・慈善団体「AgeUK(エイジ・ユーケー)」の「ビフレンディング・サービス」:高齢者
の友達づくり。ボランティアが電話をかけてくれる「テレフォン・ビフレンディング
」、ボランティアがシニアの家を訪問しお茶を飲んだり、カフェや病院に一緒にいっ
たりする「フェイス・トゥ・フェイス」のサービスなど。
・一般企業でも認知症の人や自閉症の人向けの映画上映会、高齢者向けの昼間のナイト
クラブ等。
→英国では孤独に悩む人を救済する仕組みが草の根レベルで定着している。日本でも今後
いろいろ出てくるのではないか?ex.シニアのシェアハウス?一般化?
・日本でもイギリスを見習って「孤独担当相」を設置するべきではないか?
・どのように「絆」をつくっていくか。「絆」というものの研究や「絆」についての包括
的かつ永続的な社会システムを考えていくことが大切。
 『東洋経済』の特集を見ると、本来なら人とつながれるし、助けてもらえるような場面
でも自分からつながらずセルフネグレクト(自己放棄)になっているケースもある。
・「人との絆」について以下は議論の参考になるかどうか?(日々の中で個人的に考えて
いること)
・行きつけの店:イギリスのパブ文化を日本にも定着させたい?(作家の井形慶子さん
の本からヒント)
・地域コミュニティーの一例:創価学会のネットワーク(誰かの手術前に皆で祈る、友
人葬、地震の際も地域のメンバーをすべて熟知しているため崩れた家屋の中にいたお
ばあさんをすぐ救助できた等日常的なつながりの深さ「創価家族」)
・Lineグループでの帰属感:リアルで知っている小学校の同級生たちと毎日lineでグルー
プチャット。忙しくてあまり会えなくてもネット上の家族のようで寂しくない。
・日本人は日常的に会える友達が少ない人が多い印象(交流するのは家族だけ)。私の
場合、結婚式に出席したら最後、その友達(日本人)に会えなくなることが多い。一
方で、中国人の女性は結婚後もよく出歩く印象。
・中国人は生活上手(ホームパーティ、公園でダンスや太極拳、将棋、水筆書道など)
・中国人の「一家人」「自己人」の考え:親しい友人、仲間も家族と同様の扱い。
・北京留学中に「友達の友達の友達」に助けてもらい、別の「友達の友達の友達」を助
けた経験
→日本は「人とのつながり」について中国から学ぶことも多い
・血縁のない人(英語学校のクラスメート)と養子縁組して老後を世話してもらった老
婦人の話
・自分の子どもがいなくても、志を継いでくれる若い人との絆が生まれれば幸福という
考え方(ニュースを見ていると、親子であっても本当に理解しあえるとは限らない)
・そもそも「人間」に絆を求めていない人も…ペットやぬいぐるみと家族形成。絆や幸
福の形も多種多様
・『縁の切り方 絆と孤独を考える』(中川淳一郎/小学館新書)
 「社会人は家族と仕事関係者以外に重要な人間はいない」と断言。ネットでもリアルで
も「つながること」は本当に幸せなのか、本当に重要な人間関係とは何か。SNSを中
心にはびこる「絆至上主義」に一石を投じている本。(参考のため紹介)
『東洋経済』の特集は「孤独」のマイナス面ばかり論じているが、そもそも「孤独」は悪
いことなのか?孤独を肯定する考え方を以下に紹介。
五木寛之「ひとりで死ぬこと」の幸福論(『文芸春秋』2018年12月号)
・著書『下山の思想』「下山にもまた、登山の本当の意味がある」
登るときには目に入らなかった風景が見えてくる。人生でも同じ。人生の後半を一人で
下山していくことは人生の次なるクライマックス。人生の後半を「孤独に生きる」こと
は特別に貴重。
・かつて日本人は深く孤独を愛する民族。平安~鎌倉の貴族階級では「隠遁」が流行。西
行法師、鴨長明等。近代国家の登場、資本主義社会と工業化の発展により、「地縁・血
縁・職縁の中で支えあって生きるのが人間」という考えが広がり、「孤独」はネガティ
ブな意味になった。
・五木寛之氏の考える孤独とはオルテガの「トゥゲザー・アンド・アローン」。積極的に
周囲の人と付き合いながら、孤独でいること(人間関係と孤独は両立可能)。例:コー
ラス、親鸞の言葉  五木氏:「他人と触れ合う中で、自分が唯一人の個性なのだと感
じる。ここに真の孤独が生れる。」
・養生とは「孤独の中で身体と対話をすること」
・本ではなく授業から学ぼう。本当に大事なことは活字ではなく、声を通じて伝わる。教
室にいる人は「群衆」、その一人一人は孤独。
・積極的に昔話をしたほうがいい。人生の後半生は自分の過去とじっくり向き合う「回想
を語る」ことが大事。過去を振り返る=個人の歴史を検証すること=その国の歴史を検
証すること。非常に豊かな行為。
・自分の身体で経験している歴史は、整理されて活字にされた歴史とは何かが違う。本で
はなく、自分自身の感覚だけを頼りに、自分の一生とその時代を振り返り検証する意味
がある。モノが回想の糸口になるから、どんなガラクタでも取っておくことに大きな意
味がある。
・友人が死んでも寂しいとは思わない。彼らが自分の回想の中で色濃く生きているから。
回想に遊び、回想に生きる大きなメリット。
・結局、人間は誰もが孤独。「孤独死」を忌避しようがしまいが、誰もが数々の思い出を
たどり、豊かな記憶に包まれながら、一人で静かに死んでいく。これが充実した人生の
終わり方。
孤独と幸福の関係
・新聞記者時代に衆議院議員IY女史を取材
「華道では葉の裏表を両方大切にする。日中関係の歴史も表(プラス面)も裏(マイナ
ス面)も大切」→思ったこと:人生も光(プラス)と影(マイナス)の両面があるか
らより深い人生となる。孤独や悲しみを知ってこそ、日々の幸福もより深まる。また
、孤独があってこそ、自身の内面を見つめ自身と対話し、自分を知る。そうすると、
自分の求めるものがはっきりし、人や物事との真の出会いが開かれる。→積極的孤独
の重要性(ex.芸術家)
自分にとっての幸福とは?
アランは『幸福論』で、「つまらない芝居は退屈であるが、自分が出演すると退屈しな
い。幸福になりたい人は舞台に上がらなければならない」旨述べ、「自分の人生の主役
になって努力する大切さ」を説く→幸福のためには主体的に生きることが大切であると
理解
・中国の文学者・林語堂の言葉:「幸せの秘訣は、自分が思う存分、力を発揮できる仕事
をみつけることである。」
・仏法で示す幸福観:「相対的幸福」「絶対的幸福」
相対的幸福:財産が欲しい、名声が欲しい、地位が欲しい等…際限がなく、一時的な
幸福。他人と比べたり時間が経ったりすると幸福感が薄れる。
絶対的幸福:永遠に続くもので、外の条件に影響されることがなく、生命の内からこ
みあげてくる幸福感。どのような苦悩や逆境に見舞われても、力強い生命力と豊かな
知恵で乗り越え、「生きていること自体が楽しい」という境涯を現実の人生において
築いていくことが絶対的幸福。そして、「心の財」は「身の財」「蔵の財」となって
現実の人生においても物心ともの幸福を築いていける、と説く。
・日常の中に思う幸福
・日々の人との出会いは奇跡でかけがえのないもの。地球上にこれほど多くの人がいる中
、いくつもの偶然が積み重なってやっと邂逅できる。自分の周りの方がその人らしく、
ただ元気で幸せに生きていてくれる、それ自体が自分の幸せに感ずる。
・人生の中でいかにたくさんの思い出をつくるかが幸福に大きく関わる。人との深い絆、
貴重な経験、人生をかけた仕事など。思い出の中では、いつでも会いたい人に会え、行
きたいところに行き、やりたいことができ、いつでも幸福な時に戻れる。心の中にある
もの、思い出はたとえすべてを失ったとしても人生の最後まで残る。だから一番大切に
している。
最後に…
・ジャン=ジャック・ルソーの思想
 人は、常に幸福を求めるが、常に幸福に気づかない。
 人生の最初の四分の一はその使い道もわからないうちに過ぎ去り、
 最後の四分の一はまたその楽しさを味わえなくなってから過ぎていく。
 しかもその間の期間の四分の三は、睡眠、労働、苦痛、束縛、あらゆる種類の苦しみに
よって費やされる。
人生は短い。
→日々の幸福に気づくことの大切さ…
「孤独」と「幸福」は「絆」と「心」によって左右される

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